<高円寺音人の紹介>
ギタリストを表す呼び方のひとつとして「小僧」というのがある。
つまり「ギター小僧」ってことになるわけだ。
ギタリスト以外に、このように人を舐めたような呼び方をされるプレイヤーはいないのではないか。
しかしながら「小僧」と呼ばれてしまうギタリストたちが演奏している様を目に浮かべると、これは正に「小僧」!
笑っちゃってしょうがなくなるのは、オレだけじゃないと思う。
ギターネックに喰らい付くぐらい無心に、一心不乱にソロパートを弾きまくる様子は、まさに「ギター小僧」という表現がピッタリくるのではないだろうか。
「音楽」=「音を楽しむ」というギタリストとしての原点行動が、そこにはあるような気がする。
そして、大変失礼な話ながら、北川さんは、オレから見ると正しく「ギター小僧」って印象なんです。
ソリッドで骨太なその音にも、どこか若々しいエネルギーがほとばしっているような熱を感じてしまう。
ギターに、声に、どこか引き付けられるのは、「ギター小僧」が感じさせてくれるその「熱」が故なのだろうか。
今回、北川さんから話を聞けて、そんな思いを再認識しましたね。
木澤聡
<音楽活動について>
今。メインでやっているのが「OWLS」というバンドです。今年の10月で4年になります。
それまでにやっていたのが、新城ヒデキとのユニットで「電気スルメ」です。そちらは2~3ヶ月に1回ぐらいで演っています。以前にやっていたバンドを含めると、彼とはもう10年近くになるのかな。
お互い長く一緒にやってますが、趣味も違うので、好きな曲を持ち寄って演ったりしてます。
他にもいろんなバンドからセッションで呼ばれたりもしています。
最近は息子とも一緒に演っています。息子は今29歳で、本人もバンド活動をやっているんですよ。
ちょっと面白い企画があったんで、自分と息子と「OWLS」のベースの明井さんと息子が連れてきた若いドラマーの4人でレコーディングをしたんです。それを近々YouTubeで流しながら、秋ぐらいにライブをやろうかなと思っています。
曲は自分も息子もギタリストなので全編インストで、息子のギター中心でやるような感じで。
息子はセッションの楽しさも知っているから、もうぼくなんか抜きで、先輩のミュージシャンともセッションを演ってたりするんですよ。(笑)
<音楽をやるようになったきっかけ、音楽のルーツ>
中学校1年からで、最初は「ベンチャーズ」ですよ。
音楽がというよりも楽器を弾くのが好きになっっちゃったから、「ビートルズ」なんかも面白いなと思ったけんだけど、ギターが前面に出ていた「ベンチャーズ」の方が楽器を演る人には判りやすくて、それではまっちゃって。
バンドもやってて、最初はドラムが叩きたかったんだけど、楽器も練習場所も無いから、ドラムは金持ちのヤツに任せて最初はベースから始めたんですよ。
そしてギターもちょっとやってみようと思って。なんたって金持ちのヤツの家にアンプからなにから全部あったから、全部借りものでね。(笑)
本格的な活動は「屋根裏」や「新宿ロフト」にデモテープを持って行って、すぐに出られるようになって、それからです。
その当時はやっぱり「キッス」「エアロスミス」「クィーン」の影響はでかかったですね。
当然自分たちでも弾いたりするようにもなって、よりけっこうハードなものやグラムロックとかが好きで、一気にそっちに流れて行きましたね。
「Tレックス」や「ニューヨーク・ドールズ」とか「デビッド・ボウイ」とか。
<高円寺との関わりと高円寺の好きなところは>
高円寺でインディーズ・ブームっていうのがあって、インディーズ系のレコード屋さんがたくさんできたり、パンク・ムーブメントなんかもあって、一気にそっちの方に興味を持ったと言うか。
たまたま「屋根裏」に出ていたときも、そういうバンドから一緒にやらないかって声がかかって、高円寺のバンドですね、「東京ロッカーズ」とか「東京ニューウェイブ」とかありましたね。
「スキン」とか、なにをやってるんだろうっていうぐらいの刺激的なバンドもありましたけど。
高円寺にでしかいないし見られない格好をしたミュージシャンたちが、普通にいましたからね。
高円寺に音楽シーンがあったとかは判らないけど、そんな流れと連動してニューウェイブやパンクの臭いがプンプンする店とかも多かったですね。
高円寺は自分に興味があるものを掘り下げて行こうとすると、それを判ってくれて情報を提供してくれる相手が周りにけっこういたんですよ。
その流れで友だちもたくさんできたし、影響を受けた人もいたので、高円寺にいたことはラッキーでしたね。
新しいものもあるんだけど古いものもあって共存できる、そんな高円寺の雑多なところが好きですよね~。
ひとつ残念なのは、好きな洋食屋さんがどんどん無くなっていることかなぁ。(笑)
<これからまだまだやりたいことがあったら教えてください>
そうですね、とにかく続けて行きたい。作って、ライブも演って、レコーディングもまたやりたい。
「OWLS」はギター、ベース、ドラムのシンプルな編成で、元々やってきた最初にいいなと思ったものを、今もやっているって感じですかね。
三人で演って、三人誰もが歌も歌うみたいなバンドがいいかな。
<あなたにとっての「音楽」とは?一言で>
「楽しみ」ですかね。
理屈よりも、演ってて楽しいって言うのが一番かな~って。
高円寺「バーミィー」にて 2019.7.22 MON
取材:木澤聡、北原慶昭
写真:小野千明
<北川剛さんの活動はこちらのリンク先よりご覧ください>
◎ YouTube:「OWLS Live in Showboat」
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