第六回:田村達也さん

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<高円寺音人の紹介>

 

「目的」は、あるよね。

「目標」も、あった方がいいよね。

「夢」は、見ないとだよね。

 

だけど音楽を演るときって、しっかりとしたビジョンって必要なのかな。

楽しいから、みんなやってるから、女の子にモテたいから。

そんなことから始まって夢を叶える人もいる、叶わない人もいる。

でも、やれたこと、やれなかったことってあまり違いは無いんだよね。

ただ、叶う夢もあれば叶わない夢もあるというだけの話。

やってることは同じことなんだよ。

 

バンドブームなどもあって、すべての音人が経験できないようなことも経験することができた田村さん。

そのお話も、とても興味津々で聞いてみた。

そして聞いて思ったことは、漠然としているのだが、そんなに違わないってことだった。

そして、田村さんは現在「お店」という新しいステージでそれを繋げて行こうとしている。

次の夢へチャレンジなのだろう。

 

木澤聡

 

 

<今やっている音楽活動について教えてください>

 

自分がリーダーをしているバンドとして「MPP(ミュージック・パフォーマンス・プロジェクト)」をやってます。

それと「ツイン歌姫バンド」という、80年代あたりに流行った昭和歌謡の名曲を中心に演るバンドもやってます。

「ツイン歌姫バンド」ではわたしはギターを弾いてますが、テクニックとかアレンジとかは松原正樹さんを模して演ってたりして、なんかね、自分のオリジナル曲よりもアレンジが優れているっていうか、なんだろうね。(笑)
メロディもいいし、詩もいいし、アレンジもいいし、こういうのが80年代あたりにいっぱいあったんだなぁ~って。そういう曲が好きなドラムを演ってるリーダーやバンドメンバーが発掘して「これ演ろう、これ演ろう」って持ってくるんですよ。

わたしは80年代にはハードロックとか一辺倒だったので、ほとんど聴いてなかったんですけど、こんなにいろいろ名曲があったんだ~って思いましたね。

「MPP」はプログレっぽい曲やオリジナル曲を演りたくって立ち上げたバンドで8人編成なんです。

「MPP」は自分が立ち上げたバンドなんで力を入れて活動しなくちゃいけないんですけど、バンドメンバーからは「いつ演るの、いつ演るの?」って急かされているんですけどね。

あともうひとつ、「ひぽれぼゆにっと」っていうコーラスユニットもやってます。アコースティックで演ってるので、店でも簡単に演奏できるから一番活動しやすいですね。
ハモリとかやっていると気持ちいいなぁ~ってね。

 

<音楽をやりはじめたきっかけは>

 

学生時代は熊本県宇土市にいました。大関の正代と同じですね。

家族は誰も音楽はやってなかったんだけど、中学の時はブラスバンドでトランペットを吹いてました。

中学に入りたての放課後、教室に残ってボーっとしてたら先輩の女子部員とかが来て「キミ、ブラスバンドに入らない?いい唇してるね」って勧誘されてなんか面白そうだなって思って。いつも誘われるというか、そういうのが多いですね。

中三のときにフォークソングクラブを立ち上げまして、ギターとかは音楽室にクラシックギターがいっぱいあって、それを持ってきて演ってました。「かぐや姫」とかね、演ろうか~って感じでわたしが声をかけていました。

立ち上げたはよかったんですが、練習もまだそこそこのやんないぐらいでわたしが引越しちゃっていなくなっちゃったんです。

でもそのフォークソングクラブは、みんなちゃんとフォークギターとか買って文化祭に出たんです。文化祭は中学校の隣りの市民会館を借りてやるんですけど、もうねウケにウケたらしくて~もうね、嫉妬ですね。わたし立ち上げたんだけど、わたしいない・・・。

ほとんど「かぐや姫」を演ったみたいですけど、わたし歌は下手クソだったんだけど、みんなは実は歌が上手かったんですよ。中学生で市民会館で「かぐや姫」を弾きながらハモって歌って上手い・・・。もう相当ウケたらしいですよ。

下級生の校舎の廊下を通ると、もう「ギヤァ~」って。もうスターになっちゃって。
でもわたしはいない。(笑)
忘れられない思い出になりました。

高校に入ったらロックですよ、ツェッペリンとか。

親にエレキギターも買ってもらって、それでぼちぼちギターを始めるんですけどね。一生懸命、リフばっかり延々一日8時間ぐらい練習してました。(笑)
よくありがちですが。

バンドは高2ぐらいのときに始めたツェッペリンしか演らないコピーバンドですね。楽器屋のスタジオとかに入るようになって、そこでバンドの音を出し始めて、だんだんハマリ込んでいって、のめり込んでいった時期かなぁ~。

 

<「THE WEED」>

 

熊本には元々の「THE WEED」メンバーとか小山卓治さんとか、自分が入ったバンドメンバーの一派があって、そこになんかのキッカケで入ったんです。

そこには「バカヤロー長屋」って呼ばれている間借りアパートにたむろしてて、そこに入り込んでいったんです。そこにいつもたむろしているみんなと呑んで、音楽談義したりして遊んでたんですよ。

そのうち卓治さんが「オレはプロになるんだ!」って言って東京に出て行くんだけど、それで卓治さんの部屋が空いたんでわたしが入っていくわけですよ。
そしたらわたしの部屋はみんなの溜まり場になるんですよね。まあ、よくあるパターンで。(笑)

当時まだわたしは「THE WEED」には入っているわけではなくて親しい遊び仲間だったんですよ。

熊本ってそんなに音楽人口も多くないし、オーディエンスもそんなにいるわけじゃないから、イベントやってもそのときだけは盛り上がるけど、ライブハウスで演ってもそんなに人が来るわけじゃない。
卓治さんが先に東京に行ってデビューしてたから「オラたちも東京に行くべかぁ~」みたいな、東京行くラッシュが始まったんですよ。

みんなが前後して東京に出て行く中でわたしは「THE WEED」に入ったんですよ。
実はわたしが「THE WEED」に入ったのは東京からなんですよ。

 

<なんとなく上京しました>

 

東京に出てきたのはなんとなく来ちゃった、かなぁ。

「よっしゃ~ガンバル~」みたいなのはわたしの場合は無いので。

東京に来た当初は、バンドのボーカルが田端に間借りして住んでて、そこに転がり込んだんです。
金なんか持ってなくてフラッと来ちゃったもんだから、最初はバイトをまず見つけて敷金、礼金を稼ぐぞ、どこかアパート借りるぞ、そんな感じです。

そうこうするうちにバンドも練習しようかってことになって。高円寺に来るようになったのは、けっこうもうバンド活動をやってたころかな。

「イカ天」に出演したころにはもう高円寺が拠点でしたね。

「ZZ TOP」でみんなで呑んでましたよ。音楽の話でああじゃないこうじゃないと盛り上がってましたね。

 

<「イカ天」に出演!>

 

熊本から出てきたバンドがライブハウスに出させてくれと言ってポッと出ても、お客さんがいないわけですよ。
お客さんがいないってことは宣伝にもならない。

そんなことが続いていて、どうしよう~ってときに「イカ天」が始まったんですよ。

この番組面白いなぁ~出ようか!ってことになって。バンドの中でも「チャラくない?」とか賛否はありましたけど、結果は出るんですけど。(笑)

出てみたらみんなも見てくれたし、意外にも評価も高くってけっこう予想外で嬉しかったですね。

番組に出ると次のライブスケジュールとかの字幕も流れて宣伝してくれて、その1週間後ぐらいにあった「ロフト」か「曼荼羅」どっちかのライブが、もう入れないぐらいに人が来ちゃって。
テレビって凄いなぁ~って。ちょっとあれは今でも思い出すけどビックリしました。

あの番組がバンドブームを作って、今までライブハウスなんかに来なかった人も来るようになったんですね。
ライブハウス知らないようなOLさんとかがいっぱい来る、みたいなキッカケを作った。そうやってキッカケができるとお客さんはちゃんとついて来てくれるんで、ライブやれば必ず来てくれるようになるんですよね。

だから「イカ天」出演以降は、ずっと満員御礼でしたね。

 

<晴れてメジャーデビュー>

 

「イカ天」の審査員だった伊藤銀次さんの事務所の社長から「事務所来ない?」と言ってもらって、プロデビューって感じでしたね。

あれよあれよって感じで「イカ天」様々ですよね。

お客さんがいっぱい来るようになって一番変わったなって思ったことは、ステージに立っててお客さんの視線をすごく感じて演奏ができるようになった。
オーディエンスに自分の音を響かせて、向こうがそれに反応する。それを感じたときは本当に天に舞い上がるぐらいに快感でしたね。演ってて一番の収穫でしたねぇ~。

 

<「ネブラスカ」との関わり>

 

「ネブラスカ」は、やっぱ「ZZ TOP」で呑んで、まだ呑み足りないみたいな感じなとき・・・。

まだ若かったから朝まで呑めたから~。本当にみんな語り好きというか、みんなで語るわけじゃないですか。呑むってことは語るってことですよねぇ。それでまだ呑み足りないからネブ行っちゃえ~みたいな。

もう、そうとう酔っ払って行ってるわけですよ、ネブにはねぇ~。

酔って行ってるからあんまり憶えてないんですよね、ネブってどこだっけっていうか、毎回よく判らなくなるっていうか、この辺だったよなぁ~みたいな。

ホントにね、朝までいさせてくれるっていうか甘えておじゃましてましたね。

誰も出禁にならない店。(笑)
オレとか笹山くん(メビウス)とかは「ZZ TOP」をたまに出禁になるんですよ。
「出禁だ~!」って言われてもヘラヘラしてまた行くんですけど、ネブはそういうこと無かったからなぁ~。

 

<高円寺から小岩へ>

 

高円寺には住んでましたし、音楽での関わりもとてもありました。所帯を持ってからは奥さんの実家に近い小岩に移りましたが。

音楽は一度、10年ほどあまりやってない時期がありましたね。仕事が主体になってたんで。

10年ぐらい音楽のブランクがあったころに、高円寺の別バンドで呑み仲間だったヤツと小岩のスーパーでバッタリ会って、呑みに行こうぜ!って、即呑みに行って、バンド演ろうぜ!ってなって。
「オヤジバンド」ってのが流行り始めていたので、じゃあオヤジバンド演ろうぜ!って感じで、気持ちは若いですけどね。(笑)

たぶん、わたしも演りたくてウズウズしてたんでしょうね。

すぐにメンバー集めて始めて、オリジナルの曲書いてスタジオ入って演りだしましたよ。小岩の呑み屋で音楽やってた人に声かけたらメンバーはすぐに集まりましたね。

同じ時期にIT系の会社も立ち上げたりしましたね。

 

<高円寺「やじきた2号店」を開店>

 

IT系の会社で貯めたお金でこの店を開店しました。

会社もそうでしたが、店もなんとなく始めた。
いつもそんな感じでやってきたわけなんですけど、店を始めたキッカケも前からこんなちょっと音楽ができる呑み屋とかをやりたいなと思っていたんです。

昨年に会社の仕事も一段落ついて、コロナ禍で動けなくって。そんな中で、だったら自分自身で動けることをやりたいなって思いがあって、長年思っていた店をやっちゃおうかなぁ~みたいなことが芽生えちゃって。

あと、ちょっと寂しいのが嫌いというか、本当になんにも無ければわたしずっと引き篭もりになっちゃってたと思うんですよ。
歳も歳だし、やることも無いっていうと家に篭ることになるので、それもイヤだった。自分で動けば何かできるわけで・・・うん。ヒマになるのがイヤだった。

やってみたら、ムチャクチャ大変で、ビックリしました!(笑)

今までやってた仕事とは違って、飲食店って1円単位ですべて計算しなきゃいけない。ビックリしましたね。

店は待っている仕事なんだけど、攻めたいって気持ちがあって、ここでアコスティックライブを演ったりするっていうのはちょっと攻めの方だと思うんですけど、そういうのやりますよ~誰かやりませんか~って言うと、ちょっとずつ「お~やるやる!」って人が出てきてね。
せっかく路面店で注目できるような店なんだから、みんなが笑顔で和気あいあいと集まって楽しく過ごせるような環境をできればいいなぁって思いました。

高円寺で店を出したのは、いろいろ悩んだ末ですね。

最初は山手線内の駅とかで、会社帰りの人が寄るような店を考えていたんだけど、探してみてどうもイメージするような店が見つからなくって。

高円寺にする決め手になったのはバンドメンバーに「古巣の高円寺ってよくないですか?」って言われて、「そうかそうか、高円寺って手があったね」って。
それで高円寺には昔の仲間がいっぱいいるんで、みんなに「どう?」って声かけてみてね。

 

<高円寺のいいところ悪いところ>

 

やっぱり古くからの音楽人口の層が深いっていうか、長年の音楽文化でいろんなジャンルの音楽演る人がいて。

ここの店やってみて判ってくるんですけど、本当にいろんなジャンルのミュージシャンがいて、石を投げればミュージシャンに当たるぐらいな街ですよ。(笑)

そういう街に身を置けるっていうのは、音楽人としては最高なんじゃないですかね。

残念なのは若い連中が元気が無くなってきてることかなぁ~。
昔は若いやつはやりたい放題だったんだけど、今は元気無いように感じますけどね。

ワ~ワ~騒ぎゃいいっていうわけじゃないんだけどね。

 

<「やじきた2号店」を20秒でPRすると?>

 

「やじきた2号店」は・・・そうですね、20秒って短いですね~。(笑)

みんな和気あいあいとお客さんが笑顔で過ごせるような、いい店にしたいなって思っております。

 

<あなたにとっての「音楽」とは?一言で>

 

自分自身をハッピーにさせるためのものです。

 

 

高円寺「やじきた2号店」にて 2021.1.23 SAT

取材:木澤聡
写真:小野千明

 

 

 

「やじきた2号店」はいつもみんなの笑顔が絶えない、そんなお店です。

 

<「やじきた2号店」の情報はこちらのリンク先よりご覧ください>

 

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◎ Twitter:やじきた2号店

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◎食べログ:やじきた2号店

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